目を瞬いた。
「…あの。今、何と仰いました?」
灰色髪の男が、本のページを捲りながら平然と言った。
「学校は好きかと、そう言った」
ラビエールは奇妙なものでも見るかのように、相手をまじまじと見る。
「えっと、総合的に言えば……はい、好きです」
イーヴィルはぱたんと片手で本を閉じて、相手を見つめ返す。
「学校行くか、ラビエール?」
「えっ、ええええ!?」
唐突なことに、ラビエールは目を白黒させた。
「えっ、えっ、どどど如何したんですかイーヴィルさんっ? 何かあったんですか?」
イーヴィルは立ち上がりがけに肩を竦めた。
「なに、ちょっとした世話だ。どちらかと言えば、余計な方の、な」
あわあわと慌てる少女を眺め、彼はちょっとした悪戯心だろうか、悩ましげな顔と共に本をデスクに置きながら言った。
「ま、行きたくねぇってんなら、この話はなかったことに…」
「行きます行きます行かせてください! お願いですイーヴィルさんッ!」
案の定、彼の腕に必死で飛びつく少女に向かって、男は軽く口角を上げた。
「じゃ、決まりだな」
Are you a student ?
(イーヴィル貴方、制服着て学生のフリできます?)
(ハ!? 馬ッ鹿じゃねえの? 何で女学生の服なんだよ、絶対着ねぇぞ俺)
(仕方ないでしょう、せんにゅーいらいなんですから)
(じゃあまず俺じゃなくてラビに頼めよッ!!!)
(少女に会う5分前の話)
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